
技術資料3
5.格子の音鳴り防止
5-1 風に因る音鳴り防止対策格子
手摺の格子等、細くて長い形状の物はその間を通過する風により発生するカルマン渦の周波数と格子の固有振動数が合致する風速域で振動して音が発生します。又、格子同士が共振して大きな音となる場合もあります。この問題の解決策として、風が通り抜ける様な箇所と強風が想定される箇所に設置する手摺には、格子内に制振材を挿入し、振動・共振を抑制して不快な音の発生を防止しています。風が建物などの障害物に当たって発生する音を<風切り音>として認識されていますが、音の強さは風速4m/sから音が発生し始めて、風速10m/sでは60db(A)、風速20m/sでは80db(A)の音圧になります。このレベルを超えるものを自己発生音として対策の対象としています。
5-2 音鳴り防止対策の仕様

5-3 音鳴り防止対策の効果

5-4 音鳴り防止対策推奨箇所

以下のデータが示すように、標準仕様と比較して音鳴り防止対策格子は発生音圧が10~8.5db.A下がっており、対策の有効性を評価します。又、風が物体に当たった時に生じる音圧以下の発生音であることも対策の効果がある事と認めます。

6.手摺支柱及びRC躯体への侵入水による凍結・爆裂防止対策

この対策として、左図の如く支柱及び補強材の側面に上下方向の水抜き穴が設けてあり、躯体天端より下側に開いた部分に因って支柱を固定するグラウト材が隙間無く充填出来、上側に露出した部分から侵入した雨水を排水する構造となっています。
是に因って、コンクリート躯体内への雨水の侵入を阻止し、躯体の劣化が防止されます。 強度試験の結果は、隙間無く充填されたグラウト材が水抜き穴部分の断面欠損を補完し、穴加工の無い支柱と同様に加力側と反対側の支柱足元が面座屈した時点が最大荷重となり、支柱の強度に変わりはありません。